認知行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)
人の気持ち(感情)や行動は、そのときに頭の中に浮かんだ物事の受け取り方や考え方(認知)に大きく影響を受けます。認知行動療法では、「認知」「感情」「行動」が相互に関係していると考えます。困ったり悩んだりしていることに対して、実際の場面で自動的に浮かぶその人自身の認知の仕方が歪んでいる場合はそれを修正することで感情や行動パターンの改善を図っていく治療です。

認知の歪みのひとつとして、例えば、少し話しただけで、すぐに相手はこういう人だと極端に思い込み、その人が自分の思い込んだように動いてくれないと腹が立ったりがっかりして悲しくなったりします。
いろんな歪みのパターンがありますが、ときには、「何をしても上手くいかない」「全部自分のせいだ」などと過度に悲観的な考えが浮かび、他の人に攻撃的になったり不安感が強まり自分を責めて自暴自棄になったりとさらに状況が悪くなるような行動を起こして自分で自分を追い込んでしまうこともあります。
認知の歪みは、個性ともとらえることも出来ますが、その程度が極端になっていていつもそれで困ってしまう場合はそれに上手くアプローチしていくのはよいと思います。また、強いストレスやうつ状態のときは認知が歪みやすくなります。
それから、認知行動療法をこんなイメージでとらえていただくのはどうでしょうか。車を運転するときに、初めて乗る車の運転席にいるとします。そしていざ発進しようとしたら、その車は少しアクセルを踏んだだけで猛スピードで走り出したり、カーブしようとハンドルを切ると曲がり過ぎたりします。それで運転が上手くいかなくて困ってしまいます。

認知行動療法は、この車の説明書を手に入れる作業のようなものといっていいかもしれません。あぁ、この車はアクセルやハンドルがこうなっているんだと思えば(認知)、もっとゆっくりアクセルを踏んだり丁寧にハンドルを切ったりすること(行動)が出来ます。そしてそれを気をつけてやっているうちに、少しずつ無意識に上手く乗れるようになっていって気づいたら乗りこなせるようになっているという感じです。
初めて乗る車のアクセルやハンドルにはどんな癖がついているか分かりません。運転して初めてその車の癖が分かるように、人は、人と関わることで、自分にはこういうところがあるんだなぁと、自分の考え方の癖に気づきやすくなります。そして、意識して自分の心にアプローチすることで、スムーズにその癖を知っていい方向に、つまり、悲観的過ぎでも楽観的過ぎでもない現実的で柔軟な考え方に自分自身を自分で導いていこうというのが認知行動療法と言っていいでしょう。
そんなふうに自分で自分をコントロールする術(すべ)を身につけていけるように、自分自身で日常生活の中でトレーニングをすることで、ストレスを受け流しやすいような心もちを作っていきます。こちらでは、それが上手くいくようにその手助けをさせてもらいます。